まず、引き落としの一覧を作る

親が亡くなった後、どの契約を止めればいいか分からない状態なら、まず「通帳やクレジットカードの引き落とし履歴を1か月分見て、支払いの一覧を作る」ことから始めてください。何にお金が出ていっているかが分かれば、止めるべき契約は自然と見えてきます。

契約は放置すると料金が発生し続けます。特にサブスクリプションのような月額サービスは、気づかないうちに何か月も引き落とされることがあります。この記事では、洗い出しの方法から、すぐ止めるもの・名義変更するもの・解約に必要なものの考え方までを整理します。全体の手続きの流れは死亡後の手続きチェックリストもあわせてご覧ください。

まず洗い出す(通帳・メール・郵便から)

契約は本人しか把握していないことが多く、まず「どんな契約があるか」を見つけるのが最初の仕事です。次の3つを手がかりにすると漏れが減ります。

  • □ 通帳・クレジットカードの引き落とし履歴を確認する
  • □ スマートフォンやパソコンのメールから、請求・領収の通知を探す
  • □ 郵便物(請求書・利用明細・ダイレクトメール)を確認する

見つけた契約は、サービス名・毎月の金額・引き落とし先・連絡先をメモにまとめます。実家じまいAIの「契約一覧」機能に登録しておくと、家族で共有しながら「止めた・名義変更した」の進捗を管理できます。まず何から手をつけるか迷う方はやることリストで管理するのもおすすめですし、無料診断で家庭に合わせた解約の手順を確認することもできます。

解約を進める順番

止める作業は、順番を誤ると公共料金の未払いやカードの二重請求につながります。次の順番を目安にすると手戻りが減ります。順番は契約内容により変わります。

  1. カード払い・口座引落を棚卸しする — 口座が凍結される前に、何がどのカード・口座から引き落とされているかを洗い出す。
  2. 公共料金(電気・ガス・水道)を名義変更または解約する — 片付けや売却で使うなら名義変更、空き家にするなら解約。
  3. クレジットカードを解約する — カードで払っていた公共料金などの付け替えが済んでから。
  4. 残ったサブスク・会員サービスを解約する — カード解約で止まらなかったものを個別に。

ケースで見る(一例)

前提や契約内容によって順番は変わります。ご自身の状況に置き換えてお読みください。

父が亡くなり、離れて暮らす子が手続きを担当。通帳の直近1か月の引き落としを見ると、電気・ガス・水道・携帯・NHK・新聞・動画配信2件・食品の定期購入が父名義のカード払いだった。
  • 1〜3日目:引き落としと郵便物から契約を一覧化。止めて困るもの(電気・水道)と、すぐ止めてよいもの(動画配信・定期購入)を分けた。
  • 1週間以内:動画配信・定期購入を解約。片付けに電気と水が要るため、電気・水道は名義変更にした。
  • 2〜4週間:カード払いの付け替えを済ませてから父名義のカードを解約。残っていたサブスクも連動して止まった。

この家では「口座が凍結される前に、何がカード・口座から引き落とされているかを洗い出せた」ことが、未払いや二重請求を防ぐ決め手になりました。

すぐ止めるもの(サブスク・カードなど)

継続利用の予定がなく、放置すると料金だけが続くものは早めに止めます。

  • □ 動画・音楽・アプリなどのサブスクリプション
  • □ 有料会員サービス・定期購入
  • □ クレジットカード(利用停止・解約)

クレジットカードを解約すると、そのカードで引き落としていたサービスの支払いが止まります。ただし、公共料金など「止めると困るもの」までカード払いにしている場合があるため、解約の前に何がそのカードで支払われているかを確認してください。順番を誤ると、公共料金が未払いになることがあります。

名義変更か解約かを分けて考える(電気・ガス・水道・電話・NHK)

すべてを解約すればよいわけではありません。家に人が住み続ける場合や、片付け・売却まで使う場合は、解約ではなく名義変更が適切なこともあります。

  • 電気・ガス・水道 — 空き家にするなら解約、片付けや売却まで使うなら名義変更を検討。作業中は電気と水が必要になることが多いです。
  • 固定電話・携帯電話・インターネット — 継続の必要がなければ解約。番号やメールを残したい事情がある場合は事前に検討を。
  • NHK — 契約者が亡くなった場合の手続き(解約または名義変更)を確認します。
  • 新聞 — 継続の必要がなければ解約します。

家をどうするか(住む・貸す・売る・解体する)がまだ決まっていない場合は、ライフラインを完全に解約する前に方針を考えると手戻りが減ります。判断の考え方は実家を売る・貸す・残す・解体するの比べ方を参考にしてください。

解約に必要なものの考え方

解約や名義変更の手続きに必要なものは、契約先によって異なりますが、共通して求められやすいものがあります。

  • 契約者が亡くなったことがわかる書類(死亡診断書のコピーなど)
  • 手続きをする人と亡くなった方との関係がわかる書類
  • お客様番号・契約番号(請求書や利用明細に記載)
  • 引き落とし口座やカードの情報

必要書類は各社の案内に従うのが確実です。電話やWebのFAQで「契約者が亡くなった場合の手続き」を調べると、必要なものが案内されていることが多いです。死亡診断書のコピーは複数の手続きで使うため、あらかじめ数枚とっておくと便利です。

デジタル系の契約・データは別に考える

スマホやパソコン、ネット上のサービスには、料金の発生する契約だけでなく、写真・SNS・ネット銀行・電子マネーなど、解約の前に中身を確認したほうがよいものがあります。パスワードが分からず手続きに苦労するケースも少なくありません。

デジタル関連の考え方はデジタル遺品とはで詳しく解説しています。料金の止め忘れだけでなく、データの扱いもあわせて確認しておくと安心です。

注意点

  • 引き落とし口座の凍結との順番 — 銀行口座が凍結されると引き落としが止まり、公共料金などが未払いになることがあります。口座の扱いは親の銀行口座はいつ凍結される?を確認してください。
  • 解約日・日割り・違約金 — 解約のタイミングで料金の扱いが変わることがあります。通信回線や定期購入などは、契約期間の途中解約で違約金や未払い分の精算が発生する契約類型があります。急ぐ必要のないものは内容を確認してから解約してください。
  • 家族で情報を共有する — 誰が何を解約したかを共有しないと、二重連絡や解約漏れが起きます。

急いでやってはいけないこと

  • 口座を先に凍結させて、引落エラーを放置する — 口座が凍結されると公共料金などの引き落としが止まり、未払いのまま延滞や供給停止につながることがあります。凍結の前に、引き落とし内容の棚卸しと付け替え・解約を進めてください。口座凍結の考え方は親の銀行口座はいつ凍結される?を参照。
  • 解約に必要な情報を先に消す — スマホ・パソコンの初期化、メールやSMSの削除、書類の処分を急ぐと、契約先・お客様番号・二段階認証の確認ができなくなり、かえって解約できなくなります。手続きが一段落するまで残してください。
  • 中身を確認せずにサービスを止める — ネット銀行・電子マネー・写真などは、止める前に残高やデータの確認を。詳しくはデジタル遺品とは。

家族でもめやすい点

  • 誰が何を解約したかを共有しないと、二重連絡・解約漏れ・「勝手に止めた」という行き違いが起きます。
  • 故人が使っていたサービスの中に、家族が引き続き使いたいもの(家族割・共有アカウントなど)が混ざっていることがあります。止める前に一声かけると安心です。
  • 解約に伴う返金や未払い精算のお金は、相続財産に関わることがあります。金額が大きいときは相続人全員で共有しておきましょう。

専門家・窓口に相談する目安

  • 支払いが止められない・不当な請求が続く — 消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談できます。訪問販売などで結んだ契約は、法定書面を受け取った日を含め8日以内であればクーリング・オフできる場合があります(通信販売は対象外。該当する契約類型に限ります)。
  • NHK・携帯電話・クレジットカードなどの契約者死亡時の手続き — 会社ごとに必要書類が異なります。各社の公式サイトで「契約者死亡 手続き」を確認してください。
  • 相続財産や名義に関わる判断で迷う — 相続全体の相談先は法テラスなども利用できます。

よくある質問

Q. どの契約から止めればいいですか?

まずは通帳やカードの引き落としを見て、継続の必要がないサブスクなどから止めるのがおすすめです。公共料金は家をどう使うかを決めてから解約か名義変更かを判断すると手戻りが減ります。

Q. 解約に死亡診断書は必要ですか?

契約先によって求められるものが異なります。死亡がわかる書類の提出を求められることが多いため、死亡診断書のコピーを複数枚用意しておくと手続きがスムーズです。

Q. 本人のスマホが解約できず困っています。

契約者が亡くなった場合の手続きは各携帯会社が案内しています。必要書類を確認してから店舗や窓口へ相談してください。中のデータやサービスについてはデジタル遺品とはも参考になります。

Q. 契約が多すぎて把握しきれません。

通帳・メール・郵便の3つから洗い出すと漏れが減ります。実家じまいAIの「契約一覧」に登録して家族で共有すると、止めた・変えたの進捗を管理しやすくなります。


止め忘れた契約は、放置するほど無駄な支払いが積み上がります。あなたの家庭にどんな契約があり、何から手をつければよいかを整理したいときは、無料で診断するから始めてみてください。