まず、いま何をすればいいか
あなたが今、親を亡くしたばかりで何から手をつければいいか分からない状態なら、まず「死亡診断書(死体検案書)を受け取り、葬儀社に連絡する」ことだけを考えてください。この2つが動けば、その後の手続きは自然と順番に並びます。残りは数日から数か月かけて進めるもので、いま一気にやる必要はありません。
亡くなった直後は気持ちの整理もつかないなかで判断を迫られます。だからこそ「今日やること」「数日以内にやること」「落ち着いてからやること」を分けて考えるのが、後悔を減らすいちばんの近道です。この記事では、その順番を落ち着いて追えるように整理します。より細かい期限ごとの一覧は死亡後の手続きチェックリストにまとめ、期限は入力するだけで自動計算できる死亡後の手続きタイムラインも用意していますので、あわせてご覧ください。
ケースで見る当日〜7日の流れ
具体的なイメージがつかめるよう、一つの例で流れを追ってみます(あくまで一例で、実際の進み方はご家庭の状況で異なります)。
前提: 父が病院で亡くなった/母は存命だが高齢で判断は子が担う/子は長男・長女の2人。長男が喪主、長女が書類まわりを担当することにした。
- 当日(1日目) — 病院で死亡診断書を受け取り、その場でコピーを5枚とる。深夜だったため葬儀社には搬送だけを依頼し、遺体を自宅に安置。長男・長女で近い親族にだけ連絡。
- 2日目 — 葬儀社と葬儀の内容・費用を相談(家族葬で見積り)。誰が費用を立て替えるかを兄妹で確認し、いったん長男が立て替え、後で相続財産から精算する方針をメモに残す。
- 3〜4日目 — 通夜・葬儀・火葬。火葬後に受け取る火葬許可証(埋葬許可証)を長女が保管。
- 5〜7日目 — 死亡届を市区町村の窓口へ提出(葬儀社が代行。届出人は同居の長男名義)。落ち着いたら年金・保険・口座の手続きに進むことを確認。
このように「当日は搬送と診断書」「数日で葬儀と死亡届」「その後に各種手続き」と段階を分けると、やることが一度に押し寄せずに済みます。
当日にやること
亡くなった当日は、次の流れで進むことが多いです。
- □ 死亡診断書(病院で亡くなった場合)または死体検案書(自宅などで亡くなった場合)を受け取る
- □ 死亡診断書のコピーを複数枚とっておく
- □ 遺体の搬送先(自宅・葬儀社の安置施設など)を決め、搬送を手配する
- □ 葬儀社に連絡する
- □ 近しい親族・関係者に連絡する
死亡診断書は原本を大切に、コピーを複数枚
死亡診断書(死体検案書)は、死亡届と一体になった書類で、火葬や各種手続きの起点になります。原本は死亡届の提出時に必要になりますが、その後の保険金請求や金融機関・年金の手続きでコピーを求められる場面が続きます。生命保険で1〜2枚、銀行の口座手続きで各行1枚、年金で1枚といった具合に使うため、提出前にコピーを5〜10枚とっておくと、後で慌てずに済みます。原本は死亡届で市区町村に提出してしまうため、あとから追加でコピーが欲しくても手元に戻らない点に注意してください。
自宅などで亡くなった場合はまず確認を
病院以外で亡くなった場合、状況によっては、かかりつけ医への連絡や警察への連絡が必要になることがあります。判断に迷うときは、慌てて動かさず、まず医師や警察に連絡して指示を仰いでください。対応の要否は状況によって異なります。
葬儀社選びは「即決しなくてよい」
搬送だけを先に頼み、葬儀の内容や費用はあとで落ち着いて決めることもできます。深夜でも搬送に対応する葬儀社は多く、その場ですべての契約を決める必要はありません。
葬儀費用は形式によって大きく変わります。目安として、火葬のみの直葬でおおむね20〜40万円、家族葬で50〜120万円ほどとされますが、これは地域・人数・オプションで変わる目安です(正確な額は必ず見積りで確認してください)。まとまったお金が一度に必要になるため、「誰が立て替えるか」を先に決めておくのが大切です。実務上は喪主や同居の子が一時的に立て替え、後日に相続財産から精算したり、香典を充てたりすることが多いです。立て替えた分は領収書とメモを残しておくと、後の遺産分割の話し合いで揉めにくくなります。費用の考え方は葬儀の種類と費用の目安も参考にしてください。
数日以内にやること
搬送と葬儀社が決まったら、次の期限がある手続きに進みます。
- □ 死亡届を提出する(原則、死亡を知った日から7日以内)
- □ 火葬許可証を受け取る(死亡届と同時に手続きすることが多い)
- □ 通夜・葬儀・火葬の日程を決める
- □ 火葬後、火葬許可証(埋葬許可証)を大切に保管する
死亡届は、亡くなった方の本籍地・死亡地・届出人の住所地いずれかの市区町村の窓口に提出します。提出期限は原則として死亡を知った日から7日以内(法令上の期限)です。届出人になれる人は、親族、同居者、家主・地主・家屋管理人などと定められています。実務上は葬儀社が窓口への提出を代行してくれることも多いので、まず葬儀社に確認するとよいでしょう。
- 必要書類(最小限): 死亡届(死亡診断書と一体の用紙)/届出人の印鑑や本人確認書類(自治体により異なる)。提出先=上記いずれかの市区町村窓口。
届出の要件や取り扱いは変わることがあるため、詳しくは死亡届について案内している法務省の解説( https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html )や、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
落ち着いてから進めること
葬儀が終わったら、少しずつ次の手続きに移ります。ここからは数週間〜数か月かけて進めるものです。
- 年金の停止・未支給年金の請求(死亡後にもらえる・戻るお金の一覧)
- 健康保険・介護保険の資格喪失、世帯主変更など
- 銀行口座の扱い(親の銀行口座はいつ凍結される?)
- 公共料金・携帯・サブスクなどの解約・名義変更(亡くなった後に止める契約・解約リスト)
- 相続の手続き(相続の基本:だれが相続人になるか)
これらは同時に押し寄せるように見えますが、期限の近いものから片付ければ大丈夫です。全体像は死亡後の手続きチェックリストで確認できます。
やることが多く抜け漏れが不安なときは、やることを管理に期限つきで登録しておくと、家族と進捗を共有しながら一つずつ消していけます。期限を日付で把握したい方は死亡後の手続きタイムラインで自動計算できます。まず何が自分に必要かを知りたい方は、無料診断で状況に合わせた手続きの並びを確認できます。
急いでやってはいけないこと
気持ちが焦ると「早く片付けなければ」と動いてしまいがちですが、次のことは急いでやると取り返しがつかなくなります。落ち着くまで手を止めてください。
- 本人確認(相続人・財産の把握)が済む前に家財を処分する — 現金・通帳・保険証券・権利証・実印などが紛れ込んでいることがあり、捨てると再取得できません。
- 重要書類をまとめて処分する — 契約書・年金や保険の書類・請求書は、後の手続きや「もらえるお金」の確認に必要です。片付け前に捨ててはいけない親の家のものに目を通してください。
- 口座から慌てて全額を引き出す — 引き出したお金も相続財産です。無断で動かすと後で使い込みを疑われ、話し合いがこじれます。詳しくは親の銀行口座はいつ凍結される?へ。
- 相続放棄を検討する前に借金の有無を確認せずに遺産に手をつける — 財産を使ってしまうと相続を承認したとみなされ、後から相続放棄ができなくなる場合があります。負債があるかもしれないときは特に注意してください。
専門家に相談すべき境界
自分たちだけで抱えず、次のような場面では早めに専門家へ相談すると安心です。
- 借金・連帯保証など負債があるかも/相続放棄を考える — 期限(原則3か月)があるため、司法書士・弁護士や法テラス( https://www.houterasu.or.jp/site/faq/souzoku-seinenkouken.html )へ。
- 不動産の名義変更(相続登記) — 司法書士へ。相続登記は義務化されています。
- 相続税がかかりそう/申告が必要 — 税理士や税務署へ。
- 相続人どうしで話し合いがまとまらない — 弁護士や法テラスへ。
やらなくていい・急がなくていいこと
気持ちが焦っていると「全部すぐやらないと」と感じますが、次のようなものは急ぐ必要はありません。
- 遺品の片付け・処分(気持ちが落ち着いてからで問題ありません)
- 相続財産の分け方の最終決定(相続人全員でじっくり話し合うものです)
- 家をどうするか(売る・貸す・残すの判断は後日でも間に合います)
特に遺品整理を急いで進めると、大切な書類や現金・貴金属を捨ててしまうことがあります。捨ててはいけない親の家のものも、片付けの前に目を通しておくと安心です。
よくある失敗
- 死亡診断書のコピーを取り忘れる — 原本を提出した後で保険や金融機関の手続きに必要になり、再取得に費用と時間がかかることがあります。
- 葬儀の契約をその場で全部決めてしまう — 動揺しているなかでの即決は、後で費用面の後悔につながりやすいです。
- 一人で抱え込む — 手続きは家族で分担できます。誰が何を担当するか早めに決めておくと負担が偏りません。
よくある質問
Q. 死亡届は誰が出すのですか?
親族などの届出人が署名しますが、窓口への提出自体は葬儀社が代行してくれる場合が多いです。届出人になれる人の範囲は決まっているため、詳しくはお住まいの市区町村の公式サイトでご確認ください。
Q. 死亡届の期限を過ぎたらどうなりますか?
原則として死亡を知った日から7日以内とされています。事情がある場合の取り扱いは自治体によって異なることがあるため、遅れそうなときは早めに窓口へ相談することをおすすめします。
Q. 葬儀を急いで手配しないといけませんか?
搬送と安置を先に手配すれば、葬儀の内容や日程はあとで落ち着いて決められる場合があります。まずは搬送だけ依頼し、費用や形式は比較してから決めても構いません。
Q. 相続の手続きはいつから始めればいいですか?
葬儀が済んでからで問題ないことが多いですが、相続放棄には期限があるなど、内容によって時期の目安が異なります。全体像は死亡後の手続きチェックリストで確認してください。
親を亡くした直後は、何が必要で何が後回しでよいのかを見分けるだけでも大きな負担です。あなたの状況に合わせて手続きの順番を知りたいときは、無料で診断するから始めてみてください。3分の質問に答えると、いまやるべきことが一覧で表示されます。